第52章

白原秋穂の目が、ぱっと輝いた。ほとんど反射みたいに私を置き去りにして、ハイヒールを鳴らしながら、淑やかな仕草で迎えに出る。

「藤原さん、いらっしゃったんですねぇ」

甘ったるい声が、肌にまとわりつくほど濃い。

「私と母で花のドレス選びに付き合ってたんですけど、花ったらこういうの全然分からなくて……何ひとつ決められないから、こっちが焦っちゃって」

藤原聡の正面に立つと、わざと顎を少し上げた。自分がいちばん可愛く見える角度で、うっとりした目を向けながら――言外に、私の退屈さと色気のなさをにおわせる。

けれど藤原聡は、彼女の視線など受け止めない。秋穂の肩越しに私を見つけ、ソファで平然と水を...

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