第54章

残りの指示を秘書に渡し、車のキーを掴んで、そのまま会社を出た。

向かったのは市郊外にある一室のアパート。

私が自分の金で買った場所だ。白原家の人間には一切知られていない、完全に私だけの「隠れ家」。

金庫を開け、分厚い書類の束と、鍵のかかった小箱を取り出す。

書類の中身は、母が遺した資産の一覧。どの項目も、数字も名義も、驚くほど明確だった。

そして小箱の中にあるのは、母が私に託した最も大切な形見と、いくつかの重要な権利書。

婚約までに、全部を整理し、法的に一番堅い形で守りを固める必要がある。

白原家の狼どもを警戒するため――それだけじゃない。

母が遺した最後の愛と、私を守る鎧を...

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