第55章

彼女の顔色がさっと変わったのも、慌てて何かを隠そうとした手つきも――私は見なかったことにした。視線をリストへ戻し、淡々と一つずつ照合していく。

林原雨子は今、とにかく私を早く追い出したいのだろう。動きは速すぎて、ほとんど乱暴だった。金庫から宝飾品や高級な置物を次々と取り出し、ドサドサと化粧台の上へ積み上げていく。

白原秋穂はその横で、もともとは自分の『手中に収まるはずだったもの』が、私の手で一つずつ数え上げられていくのを見ていた。顔色は林原雨子以上にひどい。瞳の奥の怨毒が、今にも形になって飛び出しそうだ。

私はわざとゆっくり、丁寧に確認を続ける。リストの最後の一項目まで合ったところで、...

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