第61章

私は一度言葉を切り、付け足した。

『自分のことは、自分で片をつけるから』

彼に、同情につけ込んで、過去の泥沼へ引きずり込むような真似はしたくなかった。

陸原家にまつわる後始末は、私の問題だ。私が自分で終わらせるべき。

彼は黙って聞いていて、それ以上は何も訊かなかった。

「……うん」

それだけ返すと、ごく自然に手を伸ばし、私の肩を抱いて、少しだけ腕の中へ引き寄せてくる。

体が一瞬だけこわばった。けれど、耳元で聞こえる落ち着いた鼓動にほどかれて、すぐに力が抜ける。

私はそのまま、彼のしっかりした肩にもたれた。鼻先をくすぐる、澄んだいい匂い。

今まで感じたことのない眠気が、波みた...

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