第100章 彼を愛していない

御影星奈:「?」

どこから来たの、この馬鹿は?

女はようやく、自分の隣に人が立っていることに気がついた。

瀬央千弥は黒髪が乱れ、その冷たいほど白い肌が、瞳の黒さと深さを一層際立たせていた。

顔はなかなかの男前だが、残念なことに口から出る言葉は糞でも食らったかのように臭い。

松山守はすでに皆条家が寄越したストレッチ・ベントレーに乗り込んでおり、御影星奈がまだ来ないのを見て、思わず身を乗り出して叫んだ。

「先輩! 行きますよ! ろくでもない男と話してると運気が下がります!」

その声は大きく、ほとんど全員に聞こえた。

皆条信と皆条甘もそれに乗じて囃し立てる。

「そうそう、お姉さん...

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