第108章 元夫は目立つ

御影安は御影の父の病室から出てきたばかりだった。

傍らにはいつもの悪友たちが数人付き添っている。彼らも御影の父を見舞いに来たのだ。

数人はへらへらと笑いながら御影安をあまり落ち込むなと慰めていたが、次の瞬間、少年が怒りを抑えつけた声を耳にした。

彼らは御影安の視線を追った。

そこには、エレベーターの中に立つ一人の若い女性の姿があった。

黒い長髪は自然に背中へ流され、毛先はわずかにカールしている。

肌は冷たいほどに白く、その顔立ちは神の傑作とでも言うべきか、一点の瑕疵も見当たらないほどに整っていた。

皆、十六、七歳の思春期の少年たちだ。これほど美しい人物を間近で見て、興奮がこみ上...

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