第128章 恥知らず

夏川秋が我に返った時、彼はすでに菩提道観の門前に立っていた。

ここは記憶の中と何ら変わりない。強いて違いを挙げるなら、今の道観がより荒涼とし、寂れていることくらいだろう。

瀬央千弥が彼の隣に立っている。その冷徹な顔は真っ青だった。

夏川秋は呆れて彼を見た。

「瀬央社長、どうしてここに来たのか、非常に興味がありますね。あなたは今、先輩とは何の関わりもない赤の他人でしょう。僕が来れば済む話で、あなたがついてくるのはまずいんじゃないですか?」

彼は、先輩を傷つけた人間を平等に嫌っていた。

瀬央千弥はその一人だ。

しかも、第一位に位置している。

夏川秋のこの言葉に対し、瀬央千弥は何の...

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