第156章 先輩は天下無敵で一番強い!

J市の空は日増しに寒くなっていく。

御影星奈は家を出る前に、ダーク系のトレンチコートを一枚羽織った。

松山家に着いたのは、それから二時間後のことだった。

松山邸は全体的に民国期の様式に近く、質朴でありながらも豪華な佇まいだ。

ただ、その上空は灰色の霧の塊に覆われている。

どうやら彼女の推測は正しかったようだ。

何者かが松山家の命運盤に手を加え、その気運を盗んだのだろう。そのせいで、今や一家は窮地に追い込まれている。

御影星奈が眉をひそめて考え込んでいると、前方から人影が一つ駆け寄ってきた。

「先輩! やっと来てくれたんですね!」

松山守がキラキラと輝く瞳で彼女を見つめる。

...

ログインして続きを読む