第16章 あなたが騙されるのが怖い

男が彼女の腰に置いた手は、軽く一度撫でられた。瀬央千弥がその感触をじっくりと味わう間もなく、その手は御影星奈に掴まれた。

彼女の手はとても白く、十指はすらりと伸び、爪は潤んだ光沢を放っている。

瀬央千弥の黒い瞳には、御影星奈の美しい顔立ちがはっきりと映っていた。彼は御影星奈の言葉を意図的に無視し、逆に問い返した。「お前、森誠介とはどういう関係だ?」

御影星奈がパーティー会場に入ってきた瞬間から、彼の視線はずっと彼女の上に注がれていた。特に彼女が森誠介と手を繋いでいるのを見てからは、心がざわつき始めた。

瀬央千弥は、自分がなぜ腹を立てているのか理解できなかった。

二人の間...

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