第181章 かつての御影様は舐め犬

周囲は静まり返り、どんな些細な物音さえもはっきりと聞き取れるほどだった。

御影星奈は冷たい視線で男と目を合わせた。

悪霊はすでに瀬央千弥の身体に憑依しており、彼の表情は苦痛に歪んでいた。

両目は血のように赤い。

この時点では、彼の理性はまだ完全に喰らい尽くされてはいなかった。

彼は苦しげに一言を絞り出した。「御影星奈……」

御影星奈は終始、感情の起伏を一切見せなかった。この突然現れた招かれざる客に対し、彼女はただ苛立ちを覚えるだけだった。

どうしてこうも執念深いのだろうか?

御影星奈は、瀬央千弥が自分を訪ねてきたなどと自惚れるつもりは毛頭なかった。

剣先は男の眉間からわずか...

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