第190章 謝部綾人、可哀そうだね

安藤楠介は苦痛に呻きながら地面に跪いた。

顔を歪め、全身から大汗を流し、絶えず苦悶の叫びを上げている。

彼の魂魄が、強引に体外へと引きずり出されていた。

凄まじい威圧感が押し寄せ、呼吸すら困難になり、まるで死ぬかのような感覚に陥る。

御影星奈は終始無表情のまま、右手に力を込め続けた。運を盗む根源が、徐々に彼の魂魄から引き剥がされていく。

それは漆黒の球体だった。

突如として周囲に狂風が巻き起こり、人々は目を開けていられないほどだった。

彼らが無意識に腕を上げて風を遮ったその時、海野網が入ってきた。

彼こそ、上山賢が御影星奈を監視するために手配した男だった。

上山瑾はすぐさま...

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