第193章 玉佩が盗まれた

鍵穴の跡は、どう見ても外的な力によって破壊されたものだった。

御影星奈は松山守の隣に立つと、壊された錠前を見下ろし、その瞳の奥に冷たい光を宿らせた。

少年は推測する。

「先輩、もしかしてあの山神賢が誰かを寄越してやったことじゃないですかね?!」

あの衣冠をまとった獣を思い出すだけで、松山守の腹の底からは怒りがこみ上げてくる。

特殊管理部門の部長であることを笠に着て好き放題し、あまつさえ先輩を脅すなど。先輩がただ者でなかったからよかったものの、そうでなければ彼の思う壺だっただろう!

御影星奈は首を横に振った。

「山神賢の命は私の手の中にある。彼にそんな度胸はない」

だから、その...

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