第70章 局に入った

影の大きさから判断するに、やって来たのは屈強な大男だ。

男は野球バットを手に、御影星奈の後頭部を狙って力一杯に振り下ろす。

命中する寸前、目の前の女がまるで背中に目でもついているかのように素早く身を躱した。

バットが空を切る。

大男が愕然としている間に、御影星奈はすでに振り返り、彼と向き合っていた。

女は極上の容姿をしており、ネットで見たことはあったが、それでもなお目の前の美しさに驚きを隠せない。

「誰に頼まれたの?」

御影星奈の声は氷のように冷たく、その眼差しは危険を孕んでいた。

大男はすぐさま我に返り、凶悪な顔で彼女を睨みつける。

「お前を殺しに来たんだ!」

そう言う...

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