第91章 彼のために危険を避ける

御影星奈の警告に、羽瀬響也は微笑んで応じた。

「近道は通らないよ」

御影星奈はしばらく彼をじっと見つめていたが、信じたのか信じていないのか、結局、身につけていた最後の一枚の平安のお札を取り出して彼に手渡した。

「持っていきなさい」

羽瀬響也は断らず、ついでに彼女の連絡先も交換した。

御影星奈が車で走り去るのを見送った後、男はようやく視線を戻して車に乗り込み、帰路についた。

その道中。

彼に一本の電話がかかってきた。

電話の相手は、お爺さんが心臓発作で倒れたが、今、屋敷には車がなく、救急車は早くても二十分はかかると言う。しかし、お爺さんの容態はそれまで待てそうにない、と。

羽...

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