第92章 どうして羽瀬家に?

御影家との一ヶ月にわたる駆け引きは、本日をもって完全に幕を下ろした。

その中には、森誠介が相手を弄んでやろうという意図も少なからずあった。

彼は御影家が自分の手の中で苦しみもがき、あちこちで頭を下げて助けを請う様を見るのが好きだったのだ。

途中、確かに厄介な不測の事態にも遭遇した。

森家と肩を並べる瀬央家が御影家に手を差し伸べたおかげで、彼らは今日までどうにか生き永らえていた。

しかし、後に何故かその支援が全て引き揚げられ、それによって森誠介は一気に御影家の全事業を手中に収めることができたのだ。

彼にとって、御影家は森家にとってさほど大きな利用価値はなく、あってもなくてもいい存在...

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