第20章

だがそのとき、雪奈が絶妙なタイミングで口を開いた。声はあくまで穏やかだ。

「桃奈、体が弱いんだから、あっちの一人掛けソファにしたら? クッションもあるし、楽よ。凌輝はこっち」

そう言って、彼女は自分の隣――ロングソファの空いた席を、ぽんぽんと軽く叩く。口調も自然体だった。

小林凌輝は雪奈を一瞥しただけで、何も言わない。白井桃奈は胸の奥に溜まった息を飲み込むしかなく、二人から少し離れた一人掛けソファへ座った。

ふう、と深く息を吐き、使用人が差し出した水を見る。たったそれだけで、自分がこの場所に似つかわしくない存在なのだと突きつけられた気がした。

雪奈は、白井桃奈の顔色がどんどん悪くな...

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