第24章

小林凌輝は書類をめくる指を、ほんの一瞬だけ止めた。

山本祐翔が口にしたギャラリーなら、心当たりがある。

安藤さんが今日の午後、そこに小さなパーティーを入れていたはずだ。

「……ふん」

短く相槌を打ち、聞いていることだけ示す。声色は淡々としていた。

「いや、あの子さ、ピアノがとんでもなく上手かったんだよ!」

山本祐翔の声は、惜しみない賞賛に満ちている。

「現場にいなかったのがもったいないって。難曲をさらっと弾きこなして、感情の付け方も繊細でさ。プロの演奏家に負けてない。何より雰囲気が……汚れがなくて、すげえ綺麗なんだよ。座って弾いてるだけで、一枚の絵みたいでさ」

山本祐翔は芸術...

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