第26章

白井桃奈はひと呼吸置いて、ふうっと息を吐いた。スケッチブックをそっとテーブルへ戻す手つきは、まるで取るに足らない紙切れでも扱うみたいだった。

「でもさぁ、絵ってやっぱり才能とか、ちゃんとした勉強とかいるじゃん? 趣味で楽しむぶんにはいいけど……うちみたいな家、別にそれで食べてくわけじゃないし。ねえ、お姉ちゃんもそう思うでしょ?」

そう言いながら、桃奈は顔を上げた。キッチンからコップを手に出てきたばかりの雪奈へ、甘くて無垢な笑みを向ける。

隣にいた友達二人が、待ってましたとばかりに口元を押さえてくすくす笑う。視線は雪奈の全身をなぞり、隠しようのない侮蔑と、薄っぺらい憐れみを滲ませていた。...

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