第31章

白井桃奈だった。

今夜の白井桃奈も来ている。白井家の代表として。

淡いピンクのレースのロングドレスに身を包み、隙のないメイク。甘い笑みを浮かべたまま小林凌輝を見つけると、ぱっと目を輝かせた。

「凌輝兄、探してたの。中、ちょっと息苦しくない? 外で風に当たろうよ」

小林凌輝は足を止め、眉をわずかに寄せた。ほとんど分からない程度のそれでも、表情は確かに硬くなる。薄く「うん」とだけ返し、身を引いて先に通した。

けれど白井桃奈はすぐには中へ入らない。彼の隣に留まり、凌輝の視線をなぞるようにベランダの外へ一度だけ目をやり、すぐに引っ込めた。口調には、甘さに紛れた探りと馴れ馴れしさ。

「凌輝...

ログインして続きを読む