第39章

オークションの番になると、白井桃奈がまたもや手を挙げた。画家・風影の新作『炎の記憶』――色彩は濃く、筆致は荒々しい。決して安くはない額で、それを競り落とす。

そして、風影が壇上に上がり、落札への礼を述べる段になった。

長髪で、どこか陰のある中性的な雰囲気の若い画家は、白井桃奈から事前に言われていたとおり、主催者とコレクターたちへ礼を尽くしたあと、わざと視線を雪奈のいる方角へ投げた。

雪奈は伏し目がちで、何を考えているのかも分からない。風影の含みのある視線は彼女と絡まらなかったが、それでも彼は気まずそうにすることもない。

数秒、言葉を切ってから――甘い余韻をまとわせるように、こう付け足...

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