第68章

雪奈は気力を取り戻すと、形になり始めたシリーズのラフスケッチを、近藤明里と、ほかに心から信頼している二人の先生へすぐに送った。

返ってきたのは、どれもこれも称賛ばかり。

紙のざらりとした手触りを指先でなぞりながら、どうしてだろう――いまになって、胸の奥が熱くなった。涙がこぼれそうで。

こんなに年月が過ぎた今日でも、先生は彼女を助けてくれたのだ、と。

デザイン案は、ただの粗い紙束ではない。

先生がこの世界に残した、最後の痕跡。

ふと窓の外へ目を上げる。深夜だった。

長いあいだ机に向かっていたことに遅れて気づき、雪奈は凝った首を揉む。デザイン画を丁寧に揃え、そっとキャビネットへしま...

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