第72章

このところ、山本祐翔は彼女にほとんど連絡を寄こさなかった。たまに数日おき、世間話めいた短いメッセージが届く程度。ましてや――彼が今、初雪アトリエで雪奈の最後の取り分を守り抜いていることなど、一度も口にしていない。

扉の隙間越しに、静かに眠る山本祐翔の横顔を見つめながら、雪奈の胸には言葉にしがたい思いが渦を巻いた。

「そうだ、snowさん。ちょうどこの書類、目を通してもらえますか」

吉田辰哉が手にしていた書類を広げ、眉間にしわを寄せる。

「提携先いくつかの違約金は入ります。ただ、合算しても損失を埋められません。アトリエの赤字が大きすぎる。新しいパートナーを探すにしても……こちらには、ま...

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