第74章

そう思い至った白井桃奈は、唇の端をわずかに吊り上げた。スマホを手に取り、長いこと連絡していない――けれど切らさずに残してある番号を呼び出す。

グレーゾーンをうろつき、ネットの裏仕事ばかり請け負うサクラ。

コールが繋がると、向こうにはがやがやと騒がしい音。だるそうで粗い男の声が乗ってきた。

「……もしもし? 珍しいな。どうした?」

「仕事。受ける?」

白井桃奈は声を落とし、窓際へ歩く。瞳の奥に沈むのは、ねっとりした陰。

「snowを、社会的に殺したい」

「おっ、最近やけに勢いある奴だろ。小林グループと揉めたって話も聞いたぞ?」

男は興味を示したのか、鼻で笑った。

「小林社長が...

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