第23章

周囲の人々はふいに口をつぐみ、一斉に琳へと視線を注いだ。

雪枝は傍らの夢子と視線を交わし、ひそかにほくそ笑んだ。

夢子の狙いは、賢治の心中における琳の印象を地に墜とすことだ。そうすれば、後で琳が賢治に何を訴えようとも、信じてもらえるはずがない。雪枝はそれを承知していた。

「お義父さん、どうかお気になさらないでください。琳はただの田舎者で、名家の作法を存じ上げないだけですから」

「そんなことないわ、お母様。お母様は優しすぎるから、いつも琳を庇ってあげるのよ。前に橘家の作法を教えてあげたのに、あの子は明らかにお祖父様を軽んじて、わざと今日遅刻してきたんだわ」

言い終えると、夢子は甲斐甲...

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