第9章

病院の一室。悠はベッドに横たわり、その傍らには父親の九条拓海が立っていた。

目を覚ましたばかりの息子を見て、拓海は慌てて気遣う。

「体の具合はどうだ?」

悠は少し間を置いてから、ゆっくりと口を開いた。

「平気だよ。心配しないで」

息子が普通に話せるのを見て、拓海はほっと息をついた。

「主治医が言っていたぞ。腹の致命傷は、病院へ運ばれる前に誰かが応急処置をしてくれたらしいな。でなければ、健がお前を病院に運び込むまで保たなかっただろうと」

そう言われて、悠の脳裏に、あの生意気で誇り高い少女の顔がよぎった。彼は小さく頷く。

「面白い奴に会ってね。助けられたんだ。……人をやって、その...

ログインして続きを読む