第33章 罪悪感 裏切り

真夏の午後。耳障りな蝉の声が、じりじりと神経を削っていた。

「ブブブブッ――」

助手席に放り出していたスマホが、狂ったように震え出す。

秘書の林谷岳からだった。

「三浦社長、スマートシティ・ブレインプロジェクトの最終入札書類は確認を終えました。ただ、少々緊急の問題が発生しました」

林谷岳の声は、ひどく張り詰めていた。

三浦央士ははっと我に返る。目の奥に浮かんでいた脆さは、一瞬で冷たい硬質さに塗り替えられた。

スマートシティ・ブレインは、三浦グループにとって今年もっとも重要な戦略事業だ。

ほんのわずかな狂いも許されない。

「会社で話せ」

そう言って煙草を揉み消し、アクセルを...

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