第35章 共同落札

会場には、張りつめた静けさが満ちていた。

スマートシティ・ブレインプロジェクトの入札プレゼンが、正式に幕を開ける。

巨大な円形スクリーンの前では、各テクノロジー企業の代表者が次々と登壇していた。

複雑に絡み合ったデータ。無機質な基盤ロジック。

重たい空気も相まって、会場のあちこちは眠気に沈みかけている。

だが――司会者が衡川グループの名を読み上げた瞬間、その空気が変わった。

「続きまして、衡川グループ首席技術顧問、工藤花恋様にご登壇いただきます」

会場中のスポットライトが、一斉に通路脇へと注がれる。

工藤花恋は静かに立ち上がり、乱れひとつない所作でスーツの裾を整えた。

気後...

ログインして続きを読む