第39章 私ならできる

歯を食いしばる。力を入れすぎて、口の中にまで鉄錆みたいな血の味が滲んだ。

尖った爪が掌の柔らかい肉へ深々と食い込み、じわりと血が浮く。それでも痛みは、どこか遠い。

悔しい。

絶対に、悔しい。

どうして三浦央士は、あんな――他人を見る目で自分を見た。

岡田明菜は、さっき工藤花恋が去っていった方向を、執念みたいに睨みつける。

工藤花恋だ。

きっと、あのクズがまだ駆け引きで三浦央士を繋ぎ止めている。

けれど、誰も知らない。

工藤花恋が廊下の曲がり角の死角へ消えた、その一瞬。

全身を支えていた張り詰めた気配が、ふっと霧みたいにほどけた。

ぐらり、と強烈な眩暈。

顔色が紙みたい...

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