第49章 おばあちゃんの恩

この恩は――工藤花恋、この身が砕け散ろうとも返しきる。

幾度も痛みに似た逡巡と葛藤を繰り返した末、花恋はとうとう、諦めるように目を閉じた。

そして再び目を開けたとき、瞳の奥に残っていたのは、折れた疲労だけだった。

「……わかった」

そう言って、彼女は承諾した。

宙に吊られていた三浦央士の心が、ようやく静かに下りる。口元には自分でも気づかないほど、ほんのわずかな笑みが浮かんだ。

「じゃあ、午後は仕事が終わったら迎えに行く。一緒に行こう」

声には、本人すら自覚していない喜びと期待が混じっている。

「いらない」

花恋は一秒の迷いもなく言い切り、冷たく遮った。

「タクシーで行く」...

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