第119章 死ねば楽になるのか

田中はスープの入った器を捧げ持ち、顔中の皺を深くして笑った。

「九条様は今や当家で最も大切な宝物でございますから。大奥様も長年待ち望んでおられました」

西園寺百合子は満足げに頷き、視線を巡らせた。

だが、西園寺京夜の席は空席だった。

「京夜はどうしたの? こんな大事な日に、またどこへ行ったというの」

西園寺百合子の声に、不機嫌な色が混じる。

九条玲奈は慌ててスプーンを置き、気遣わしげに説明した。

「お義母様、京夜さんを責めないであげてください。会社で大きな海外M&Aの案件があって、目が回るほど忙しいんです。さっきわざわざ電話があって、先に食べててくれと。片付いたらすぐ戻るそうで...

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