第138章 負けを認める

「往蔵」

 言葉が落ちると同時に、一人の精悍な男が音もなく入室した。彼は恭しく一礼し、主命を待つ。

「西園寺家の清風邸を洗いなさい。特に、西棟にあるガラス張りの部屋をね。あの中に横たわっているのが一体誰なのか、突き止めるのよ」

 往蔵は無言で頷いた。

「それから人員を増やして、引き続き立夏の行方を捜しなさい。どんな些細な情報も見逃さないように」

「はっ」

 橘カオリは手を振って彼を下がらせようとしたが、ふと一言付け加えた。

「もし好機があれば、あの氷室にある『モノ』を処分しなさい。手際よく、痕跡を残さずにね」

 葉山立夏の「死」に真の終止符を打たなければ、彼女が別の場所で本当...

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