第145章 彼を普通の人として扱う

会議室にいた全員が、息を呑んだ。

たかが一介のスタートアップ企業のために、そこまでする価値があるのか?

だが、あえてそれを口にする者はいない。西園寺京夜の瞳に、その答えを見て取ったからだ。

価値はある、と。

「解散だ」

西園寺京夜は立ち上がり、会議室を後にした。

秘書が小走りでその後を追う。

「総裁、このような強硬手段は、欧州のエネルギー業界全体への宣戦布告に等しい行為です。それに……葉山さんは……」

西園寺京夜の足取りは止まらない。それどころか、その表情には奇妙な期待の色さえ浮かんでいた。

「その程度の修羅場もくぐり抜けられないのなら、私がこれほど手をかける価値もないとい...

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