第162章 いかなる代償を払っても

葉山立夏は、この謎めいた隣人が自分の感情を感知できるのではないか、とさえ思い始めていた。

彼女が苛立っている時は、音色は穏やかに。

疲れ果てている時は、安らぎに満ちて。

そして今夜の調べには、微かな……喜びが含まれているような気がした。

葉山立夏は苦笑して首を振り、疲れすぎて頭がおかしくなったのだと自分に言い聞かせた。

彼女は壁際へ歩み寄ると、以前のように距離を置くことはせず、そっと背中を預けた。

冷たい壁を通して、向こう側から微かな振動が伝わってくる。その音色は壁を突き抜け、直接心に染み入るようだった。

彼女は目を閉じ、静かに耳を傾けた。

壁の向こう側で、西園寺京夜は目を閉...

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