第169章 未来を失うわけにはいかない

混沌とした意識の底で、葉山立夏は聞き覚えのある絶叫を耳にした。

力を振り絞って目を開けると、ガラスの向こうで取り押さえられ、もがく影が見えた。

あの高大で傲岸不遜な男が、まるで迷子のように無力で、その赤く充血した瞳には、かつて見たこともないほど脆い恐怖がひび割れていた。

彼でも、怖がることがあるのだ。

その瞬間、生存本能が奇跡的に鎌首をもたげた。彼の目の前で、こんなふうに死にたくない。

心電図モニターが微弱な起伏を刻み始めた。

「心拍再開!」

「血圧上昇!」

「持ち直しました!」

西園寺京夜は壁に背を預けたまま崩れ落ち、膝に顔を埋め、肩を震わせた。

秘書が水を差し出す。「...

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