第172章 潔白の証明

彼女はもう、自分の後ろをついて回って、甘く愛らしい声で「蓮兄ちゃん」と呼んでいたあの頃の少女ではない。

葉山蓮は居心地の悪さを隠せなかった。

「立夏、あの時のことは……」

「それはあなたの選択でしょう」

葉山立夏は彼の言葉を遮った。その口調はあまりに平坦だった。

「分かっているわ」

葉山蓮は言葉を詰まらせた。

腹の底に溜め込んでいた謝罪も、言い訳も、彼女のその軽描淡写な「分かっている」という一言で、喉元まで押し戻されてしまった。

焦りが募る。

いっそヒステリックに詰問されたほうがマシだった。天気の話でもするかのようなこの静けさは、かえって彼を追い詰める。

「でも、俺は……...

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