第175章 曙光

一年後、プラハ。

モルダウ川の川面を覆う冬の霧がまだ晴れやらぬ中、葉山グループ欧州本部の会議室は、すでに一触即発の空気に包まれていた。

「『黎明(れいめい)計画』の承認プロセスが、第七区でストップしました。理由は環境アセスメントのデータ不足だそうです」

プロジェクト責任者が地図上の赤い丸を指し示し、眉をひそめて訴える。

「理不尽です。我々が提出したレポートは、EU基準を二段階も上回る厳格なものです。これは明らかに……政治的なパフォーマンスでしょう」

葉山立夏は上座に座っていた。

無駄のないカッティングが施されたスモーキーグレーのスーツを纏い、長い髪をアップにしている。露わになった...

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