第257章 人類の境界

すっと通った鼻筋から、輪郭のはっきりした唇の線へと指を滑らせる。

その指先が彼の唇に触れようとした瞬間、温かく大きな手に手首を掴まれた。

西園寺京夜が目を覚ましたのだ。

いつもは氷のように冷たいその黒い瞳に、今はわずかに驚いた彼女の顔がはっきりと映り込んでいる。

問い詰めるでもなく、からかうでもなく。

「おはよう」

彼が口を開くと、その声は低く掠れていた。

その一言で、葉山立夏の心臓が大きく跳ねた。

直後、耳の裏から顔全体へと一気に熱が広がる。

手を引き抜こうとしたが、彼はその勢いを利用して彼女を力強く腕の中へと引き寄せた。

視界が反転し、気がつけば彼の下敷きになっていた...

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