第262章 回復は順調

そのキスは、柔らかく、そして確かな意志を秘めていた。

西園寺京夜は虚を突かれたように固まった。彼女の少しひんやりとした唇と指先の温度、そして有無を言わさぬ慰めが伝わってくる。

「動かないで」

彼女の唇が離れ、二人の額が合わさる。

「私は平気だから」

そのキスは、どんな言葉よりも雄弁だった。

彼の瞳に浮かんでいた不安が次第に薄れ、後には失ったものを取り戻したような柔らかな光だけが残った。

彼は彼女の手を握り、その指関節にそっと口づけを落とす。

その時、ドアの辺りから控えめな咳払いが聞こえた。

医師がドアの外に立ち、眼鏡を押し上げた。

「西園寺様のバイタルサインは安定しており...

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