第271章 邪魔者

最後の署名欄、贈与人の欄にだけ、「西園寺京夜」と達筆なサインが記されていた。

彼女は顔を上げ、向かいに座る男を見た。

彼はくつろいだ様子でコーヒーを飲んでいる。まるで差し出したのが商業帝国を揺るがすほどの莫大な富ではなく、ただの朝刊であるかのように。

「西園寺京夜、これは何のつもり?」

「君に安心感を与えるためだ」彼は身を乗り出し、彼女の手にあるペンを取って握らせた。「俺のものはすべて君のものだ。俺自身も含めてね」

かつては手段を選ばず、疑心暗鬼に駆られて彼女を警戒していたこの男が、今は自分のすべてを隠し立てすることなく彼女の前に差し出している。

葉山立夏はそのペンを握りしめた。...

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