第182章

傘を差して外に出たとき、雨はまだ止んでいなかった。

空は重苦しい鉛色の雲に覆われ、心が押し潰されそうなほど陰鬱だ。

だが、骨まで染みるような寒さが、かえって意識をゆっくりと覚醒させる。

私は水たまりを踏みしめ、雨の中に跪いたままの立花謙一へと歩み寄った。

「紗夜さん」

少し離れた場所にいた立花青葉が、私の姿を見て声を上げる。

うなだれていた立花謙一が、雨の中でゆっくりと顔を上げた。

整えられていたはずの黒髪は濡れそぼり、乱れて頬に張り付いている。雨水が絶え間なく滴り落ちていた。

闇に飲まれかけていたその瞳に、ふと光が宿る。

鮮やかな色彩が、滲み出すように。

「紗夜、どうし...

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