第183章

一瞬、言葉を失った。心臓を無数の虫に食い荒らされているような、激しい痛みが走る。

喉の奥が焼けつくように熱いのに、声にならなかった。

立花謙一はそんな私の様子を気にする風でもなく、ただ強く抱き寄せてくれた。

長い沈黙の後、ようやく彼の手が緩む。

「病院は菌が多いし、雨も降ったばかりだ。君の体には障るだろう。誰かに頼んで、海宮まで送らせよう」

自分の具合も悪いくせに、私のことばかり気遣う彼を見て、胸が締め付けられるような思いがした。

「ううん、いいの。明日の朝、あなたの熱が下がってから一緒に帰りましょう」

立花謙一は私の瞳をじっと見つめた。その瞳の奥で、濃密な感情が渦巻いているの...

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