第190章

メールの文面を読み終えても、私の心には一切の波風が立たなかった。ただ淡々と画面を閉じる。

もしあの偽のけんに出くわしていなければ。もし先輩が裏で私と立花謙一の仲を裂こうと画策していたと知らなければ、私は彼の言葉を信じていたかもしれない。

だが今となっては、状況は全くの別物だ。

あの偽のけん騒動が起きる前、立花謙一は「先輩は善人ではない」と私に幾度となく忠告していた。

当初は信じようとしなかったが、今となっては……数々の証拠を目の当たりにし、信じざるを得ない。

この期間、先輩が与えてくれた支援や手助けには感謝している。しかし、それはあくまで感謝であって、それ以上の感情は何もない。

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