第267章

「紗夜、せっかく来たのにどうして入らないの?」

中へ入ろうとしたその時、背後から結城京子の声が聞こえた。

私が返事をするより早く、彼女は自然な笑みを浮かべてドアに手をかけた。

「入りましょう」

私は不思議に思って彼女を見つめた。

「先輩、もしかして……」

先ほどの話が聞こえていたのだろうか。

「ええ」

私が言い終わる前に、結城京子はあっさりと認めた。

「ただの根も葉もない噂よ。気にすることないわ」

そのあまりにも堂々とした態度に、私はたちまち胸がチクリと痛んだ。

先輩は試合に勝つために手段を選ばないような人ではない。疑うべきではなかったのだ。

私は結城京子と一緒に中へ...

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