第171章

オードリー視点:

午後の陽光がソーントン邸に長い影を落とす頃、私はベイリー邸から戻ってきた。その手には、ハードドライブが固く握りしめられていた。

コートも脱がずにラップトップに駆け寄り、それを接続する。期待に胸がどきどきと高鳴った。

何時間も、私は監視カメラの映像を食い入るように見つめ、一分過ぎるごとにスクリーンに顔を近づけていった。

しかし、私の希望はすぐに苛立ちへと変わった。

私の赤ちゃんを連れ去った人物は、慎重だった。

見えるのは、ぼやけた人影だけ。特徴的な部分はなく、はっきりとした顔も見えない。我が子を盗んだ犯人を特定できるものは、何一つなかった。

「くそっ!」

私は机に手のひらを叩...

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