第172章

オードリー視点:

驚いたことに、私を見たドロシーの表情が和らいだ。

彼女はアメリアに掴まれた腕を、穏やかに、だが断固として振りほどいた。

「オードリー、あなたには謝らなければなりませんわ」ドロシーはそう言った。その声には、心からの後悔の念がこもっていた。

「ハリソンさんが私に接触してきたとき、すぐにあなたに知らせるべきでした。こんなことになるなんて、私の本意ではありませんの」

彼女はアメリアに凍てつくような視線を送った。

「私がキャスパーに急ぎの電話をかける間、ハリソンさんには東の居間で待つよう、はっきりと指示しておいたのです。どうやら、私が彼の帰宅を手配するために席を外した途端、彼女は勝手...

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