チャプター 25

オードリー視点

ベッドの端に腰掛けた私の手のひらは、緊張でじっとりと汗ばんでいた。

心はロンドンのあの夜へと何度も引き戻される――半開きのドア、見知らぬ部屋の薄暗い照明、彼の低い声、そして平気なふりをしようとした私のバカげた試み。

私はニューヨークの金融界の大物をジゴロと勘違いして、彼と寝てしまったのだ。

そのことがバレたら、ただじゃ済まないだろう。彼が銃を取り出し、冷たく私に突きつける光景が頭から離れない。

その想像に背筋がぞっとした。

幸いにも、電話の着信音が私を渦巻く思考から救い出してくれた。

ナイトスタンドで振動する携帯を掴む。画面には『マーガレットおばあちゃん』と表示されていた。

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