チャプター 36

キャスパー視点

レストランの片隅に座りながら、俺の視線は知らず知らずのうちにエメラルドグリーンのドレスをまとった姿を追っていた。

オードリー・レインが、一人の男と談笑している。

男が彼女の耳元に顔を寄せて何かを囁くと、オードリーは一層声を上げて笑い、ふざけるように男の腕を叩いた。

いつの間にか、男の手が彼女の腰に回されていることに、俺は気づいた。

説明のつかない苛立ちが胸に広がった。

ほとんど口をつけていないウィスキーを置き、俺はこの退屈な会食を切り上げることに決めた。

ちょうどその時、オードリーが化粧室に向かうのが見えた。

俺は間髪入れずに後を追い、化粧室へと続く廊下の角で待ち構えた。

彼...

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