チャプター 5

オードリー視点:

マーガレットおばあ様が引き止めなければ、この家にもう一分たりとも長居するつもりはなかった。

ベイリー家の屋敷は、外から見れば宮殿のようかもしれない。けれど、私にとっては、美しく飾り立てられた牢獄のようにしか感じられなかった。

自室に入るなり、ドアを叩きつけるように閉め、そのままドアに寄りかかった。

こぼれ落ちそうな涙を必死で堪え、平静を保とうとすると、目の奥がじりじりと熱くなった。

もう傷は癒えたのだと、我が子の死を口にしても崩れ落ちないくらい強くなれたのだと、そう思い込もうとしていた。

私が間違っていた。

あの子を失ったことは心に刻まれた永遠の傷であり、あまりにも根源的な痛みで、もはや私自身の一部となってしまっていた。

目を閉じると、四年前の記憶が容赦ない鮮明さで蘇ってくる。

サミュエル・ウェスト――誰もその顔を見たことがないという、謎めいた実業家――がベイリー家の実の娘との結婚契約を名指しで求めてきたのだ。

だがシエナは、顔も見せないような男は年寄りで醜いに違いないと決めつけ、頑としてそれを拒んだ。

崩壊寸前のベイリー金融帝国を前に、エレノアとジョージは必死だった。

だが、可愛いシエナを彼女が不快に思うような状況に無理やり追い込むほどではなかったらしい。

彼らには別の解決策が必要だった。そして、そこにいたのが――ちょうど我が子を産んだばかりの、私だった。

血の味がするほど唇を強く噛みしめた。

彼らは私に選択肢すら与えなかった。一度たりとも、きちんと向き合って状況を説明し、助けを求めてくることなどなかったのだ。

もし、ただ頼んでくれてさえいれば、家族を救うために、私は同意しただろうに。

その代わりに彼らがしたのは、私の赤ちゃんを奪い、その無垢な命を人質に取ることだった。私が我が子を守るためなら何でもすると知った上での、卑劣なやり方だった。

『我々の言う通りにしろ。さもなくば、二度と子供には会えなくなるぞ』あの時、彼はそう脅した。まるで私の血を分けた我が子ではなく、ただの商取引について話しているかのような、事務的な声で。

そして、見知らぬ男との契約結婚に足を踏み入れた後で、彼らは最後の、そして最も残酷な仕打ちをした。私の赤ちゃんが死んだ、と告げたのだ。

私はそれを受け入れられなかったが、その時の彼らの返答は、今でも私を苛み続けている。

『死んだものは死んだんだ』ジョージはそう言って肩をすくめた。その横でエレノアは自分のマニキュアを眺めている。『どうせ厄介者だったじゃない。私たちが後始末してあげたんだから、感謝してほしいくらいよ』

厄介者。それが、彼らが私の子を呼んだ言葉。

まるで、あの子がただ処分されるべき邪魔者だったとでも言うように。

頬を伝う一筋の涙を拭った。絶対に、あの年の真実を暴き出してやる。そしてその時は、誰も逃がさない。

感情の爆発は、私の気力をすっかり奪い去っていた。

ぐぅ、と大きく鳴ったお腹の音が、部屋の静寂を破った。お腹に手を当てて、ろくに何も食べていなかったことに気づく。

ジョージたちと対峙することに集中しすぎて、食事のことなど頭からすっかり抜け落ちていたのだ。

しかし今、私の体は限界を訴え始めていた。

ハンドバッグとジャケットを掴むと、私はドアに向かった。

ベイリー家の屋敷から歩き去ると、夜の空気が解放感を与えてくれた。

街の中心部で、温かい光が漏れ、客もまばらな小さなレストランに足が向いた。

「一人です」とホステスに告げると、彼女は入り口と店内の両方がよく見える角のボックス席に案内してくれた。

すぐに注文を済ませ、最初の一口に手をつけようとした、まさにその時――見られている、という紛れもない感覚を覚えた。

顔を上げると、視線の主を見つけた。四歳くらいだろうか、小さな男の子が隅のボックス席にちょこんと座っていた。

男の子は、正確には私ではなく、私の皿の上の料理を見ていた。その目は大きく見開かれ、ありありと空腹を物語っていた。

私の視線に気づいたかのように、少年はさっと目を逸らし、すぐそばの壁に何やら面白いものでも見つけたかのように見つめた。

その見え透いた素知らぬふりに、私は思わず笑みを浮かべた。

綺麗な子だった。長い睫毛に縁取られた大きな瞳、整った繊細な顔立ち。

完璧に整えられた髪から、明らかに誂えられたであろう服まで、その全てが裕福さと、いかに手塩にかけて育てられているかを物語っていた。

ただの子でないことは確かだった。

それなのに、少年は何日も食べていないかのように、じっと私の食事に視線を送っている。

食事を続けようとした、その時だった。ごくり、と。喉を鳴らす小さな音は、聞き間違いようがなかった。

その音に、私はたまらず吹き出してしまった。

少年は、ばつが悪そうな、それでいて好奇心に満ちた目をこちらに向けた。

私は微笑んで手招きした。「ねえ」と私は優しく呼びかける。「一緒にどうかな?」

少年は動かなかった。ただ、羨望と猜疑心の入り混じった眼差しで、私をじっと見つめている。

その用心深い眼差しに、なぜだか胸がちくりと痛んだ。

私はフォークを置き、彼の方へ歩み寄ると、視線が合うようにその前にしゃがみこんだ。

間近で見ると、その顔立ちはさらに目を引くものがあった。

「オードリーよ」私は声を和らげて言った。「一人で食べるには、ちょっと多すぎるの。よかったら、一緒に夕食を食べない?」

私は手のひらを上にして、誘うように手を差し伸べた。

少年は小さく一歩後ずさり、何かを値踏みするように私を鋭く見つめた。その視線は、まるで複雑な計算でもするかのように、私の顔と差し出された手の間を行き来した。

やがて、意を決したように、おずおずと小さな手を伸ばし、私の手のひらに重ねた。

その感触は軽く、少しでも危険を察知すればすぐに引いてしまいそうだった。

私は安心させるように微笑み、優しく彼をテーブルへと導いた。

その眼差しには明らかな飢えが浮かんでいるにもかかわらず、少年は目の前の食事に飛びついたりはしなかった。

それどころか、彼は丁寧にナプキンを広げて膝の上に置き、その小さな指は手慣れた正確さでそれを整えた。

ようやく食べ始めた時も、その所作は抑制の効いた優雅なものだった。背筋を伸ばし、少しずつ口に運び、よく噛んでから飲み込む。

その光景に、胸が締め付けられる思いだった。

完璧な作法を教え込みながら、どうして満足に食事も与えない親がいるのだろう。

二人ともお腹がいっぱいになると、私は予期せぬ難題に直面していた。

少年は私の向かいに座り、膝の上で手を組み、あの大きな瞳で私を見つめていた。

「お名前は?」私は優しく尋ねた。

返事はない。ただ、じっと見つめ返されるだけだ。

「誰かと一緒なの? ご両親とか、ナニーとか?」

少年は首を横に振った。

返事があったことに少し驚き、私は質問を続けた。

「一人で来たの?」

彼は頷いた。

私は彼を見つめ、その情報を頭の中で整理した。どうやら頷くか首を振るかでしか答えないようだが、少なくとも意思疎通はできている。

こんなにも身なりの良い、行儀の正しい四歳ほどの子供が、夜の街を一人でさまよっている。その事実に、私は衝撃と懸念を覚えた。

私はレストランの中を見回し、迷子を探しているような人がいないか探したが、目に入るのはカップルや会食中のビジネスマンばかりだった。

うろついている男の子を血相を変えて探している大人の姿はどこにもなかった。

ウェイターが近づいてきて、私と口を閉ざしたままの連れとを交互に見ながら、訝しげに眉を上げた。

「何か問題でも?」

「ええ、大丈夫」私は機械的に答えた。

この子をレストランに一人で置き去りにするわけにはいかない。

かといって、見ず知らずの子供を連れて行くなんて……一体どこへ? 警察に?

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