第六十八章

オードリー視点:

弁護士事務所の前に車を停めると、窓から朝の光が差し込んできた。

私は深呼吸を一つして、これから起こることへの覚悟を決めた。

『ついに。長かった四年の末、この茶番のような結婚生活に終止符を打つのだ』

バックミラーに映る自分を確認し、すっと背筋を伸ばす。そして車を降りると、威圧感のあるガラス張りのビルに向かって、迷いのない足取りで歩き出した。

中へ入ると、受付の女性に会議室へと案内された。

曇りガラスのドアに近づくと、予期せず心臓の鼓動が速まるのを感じた。

四年間、法的な夫であり続けた男性の顔を、ついに見ることになるのだろうか。

部屋に入ると、非の打ち所がない紺色のスーツを着こ...

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