第11章
林田朔夜は、思わず息を呑んだ。
この敬意と誠意――藤原承弦の威圧と強引さとは、あまりにも対照的だ。
胸の奥に、かすかな波紋が広がる。
「ありがとうございます、周防さん。真剣に考えます」
最後にそう答えた声は、さっきより少しだけ素直だった。
「うん。返事、待ってるよ」
周防島一はふっと笑い、雑談めいて付け足す。
「最近、体調はどう? この前の夜、顔色あんまり良くなかったから」
さりげない気遣いが、心をふわりと温めた。同時に、理由のない酸っぱさが喉の奥に残る。
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
朔夜は小さく答える。
「なら良かった。無理すんなよ。じゃ、邪魔した」...
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